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【特定技能】自動車運送業・鉄道など4分野が追加
2024年(令和6年)3月29日、「特定技能」の分野に、自動車運送業、鉄道、林業、木材産業の4つの分野が追加され、工業製品製造業(素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業から名称変更)、造船・舶用工業、飲食料品製造業の3つの既存分野に新たな業務・区分等が追加されることとなりました。
また、特定技能外国人の受入れ見込数が見直され、2024年度から5年間の上限が現在の2.4倍となる82万人に設定されました。
特定産業分野の追加
これまでの12分野に「自動車運送業」「鉄道」「林業」「木材産業」の4分野が追加され計16分野となります。
1 介護
2 ビルクリーニング
3 素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業
4 建設
5 造船・舶用工業
6 自動車整備
7 航空
8 宿泊
9 農業
10 漁業
11 飲食料品製造業
12 外食業
1 介護
2 ビルクリーニング
3 工業製品製造業(※1)
4 建設
5 造船・舶用工業(※2)
6 自動車整備
7 航空
8 宿泊
9 自動車運送業
10 鉄道
11 農業
12 漁業
13 飲食料品製造業(※3)
14 外食業
15 林業
16 木材産業
※1 分野名を「素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業」から「工業製品製造業」に変更、業種を追加
※2 区分を整理し、造船・舶用工業に必要となる各種作業を新区分に追加
※3 食料品スーパーマーケットでの惣菜等の製造も可能に
新規分野
新規分野では、1号特定技能外国人のみ受け入れが可能です。
自動車運送業
自動車運送業では、トラック、タクシー、バスの運転業務に従事することができます。
トラック | タクシー | バス | |
---|---|---|---|
業務内容 | トラックの運転、運転に付随する業務全般 | タクシーの運転、運転に付随する業務全般 | バスの運転、運転に付随する業務全般 |
技能水準 | 特定技能1号評価試験 | ||
運転免許等 | 1種運転免許 (外免切替でも可) | 2種運転免許 | |
- | 新任運転者研修の修了 | ||
日本語能力 | 国際交流基金日本語基礎テストまたは日本語能力試験(N4以上) | 日本語能力試験(N3以上) | |
在留資格 | 特定技能1号のみ | ||
在留資格の特例 | 運転免許の取得等のため、在留資格「特定活動」による入国・滞在が認められる | ||
在留期間6月・更新不可 | 在留期間1年・更新不可 | ||
受入れ企業の要件 | 道路運送法第2条第2項に規定する自動車運送事業を経営する者 | ||
運転者職場環境良好度認証制度に基づく認証を受けた者または安全性優良事業所(Gマーク制度)を有する者 | 運転者職場環境良好度認証制度に基づく認証を受けた者 | ||
- | 受入れ予定の外国人に対し、新任運転者研修を実施 |
タクシーとバスを運転するには、2種免許の取得と新任運転者研修を修了する必要があります。
タクシーやバスの運転手は、コミュニケーションや安全管理の能力が求められるため、日本語能力については日本語能力試験N3以上が求められます。
日本で運転免許の取得等をするための一定期間は、「特定技能」の運転業務に従事できないため、「特定活動」 の在留資格での入国・滞在が認められます。運転免許を取得後、「特定技能」の在留資格へ変更します。
なお、「特定活動」 の在留資格で滞在する期間は、「特定技能1号」の通算在留期間には算入されません。また、「特定活動」で滞在中は、運転免許の取得等の手続きをしながら、受け入れ企業で車両の清掃等の関連作業に従事することは認められます。
鉄道
鉄道では、駅係員・車掌・運転士等の運輸係員、車両整備等の業務に従事することができます。
軌道整備 | 電気設備整備 | 車両整備 | 車両製造 | 運輸係員 | |
---|---|---|---|---|---|
業務内容 | 軌道等の新設、改良、修繕に係る作業・検査業務等 | 電路設備、変電所等設備、電気機器等設備、信号保安設備、保安通信設備、踏 切保安設備等の 新設、改良、修繕に係る作業・検査業務等 | 鉄道車両の整備業務等 | 鉄道車両、鉄道車両部品等の製造業務等 | 駅係員、車掌、運転士等 |
技能水準 | 特定技能1号評価試験 | 特定技能1号評価試験または技能検定3級 | 特定技能1号評価試験 | ||
日本語能力 | 国際交流基金日本語基礎テストまたは日本語能力試験(N4以上) | 日本語能力試験(N3以上) | |||
在留資格 | 特定技能1号のみ | ||||
受入れ企業の要件 | 鉄道事業法による鉄道事業者、軌道法による軌道経営者その他鉄道事業または軌道事業の用に供する施設もしくは車両の整備または車両の製造に係る事業を営む者 |
駅係員・車掌・運転士等の運輸係員は、コミュニケーションや安全管理の能力が求められるため、日本語能力については日本語能力試験N3以上が求められます。
林業
林業では、育林、素材生産等の業務に従事することができます。
木材産業
木材産業では、製材業、合板製造業等に係る木材の加工等の業務に従事することができます。
既存分野への業務等追加
工業製品製造業
これまでの「素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業」の分野名が「工業製品製造業 」に変更され、新たな業種・業務区分が追加されます。
新たな業種では、1号特定技能外国人のみ受け入れが可能です。
新たな業種での受け入れ開始時期については、現時点では未定です。
今後、既存の業務区分に鉄鋼、アルミサッシ、プラスチック製品、金属製品塗装、こん包関連の事業所が新たに含まれるよう、上乗せ基準告示の改正が予定されています。
現 在 | 改正後 | |
---|---|---|
分野名 | 素形材・産業機械・ 電気電子情報関連製造業 | 工業製品製造業 |
業種 | 素形材産業 産業機械製造業 電気・電子情報関連産業 金属表面処理業 | 素形材産業 産業機械製造業 電気・電子情報関連産業 金属表面処理業 鉄鋼業 金属製サッシ・ドア製造業 プラスチック製品製造業 紙器・段ボール箱製造業 コンクリート製品製造業 陶磁器製品製造業 繊維業 金属製品塗装業 RPF製造業 印刷・同関連業 こん包業 |
業務区分 | 機械金属加工 電気電子機器組立て 金属表面処理 | 機械金属加工 電気電子機器組立て 金属表面処理 紙器・段ボール箱製造 コンクリート製品製造 陶磁器製品製造 紡織製品製造 縫製 RPF製造 印刷・製本 |
業種ごとの要件(案)
繊維業
繊維業の技能実習制度では、時間外労働に対する賃金不払等の違反が多いことから、違反をなくし適正な取引を推進するため、下記の要件が追加される予定です。
印刷・同関連業
全日本印刷工業組合連合会、全国グラビア協同組合連合会、全日本製本工業組合連合会のいずれかに所属していること
こん包業
日本梱包工業組合連合会に所属していること
造船・舶用工業
「溶接」「塗装」「鉄工」「仕上げ」「機械加工」「電気機器組立て」の6業務区分が、「造船」「舶用機械」「舶用電気電子機器」の3業務区分に再編されるとともに、作業範囲が拡大されます。
業務区分 | 作業範囲 |
---|---|
造船 | 溶接、塗装、鉄工、とび、配管、船舶加工 |
舶用機械 | 溶接、塗装、鉄工、仕上げ、機械加工、配管、鋳造、金属プレス加工、強化プラスチック成形、機械保全、舶用機械加工 |
舶用電気電子機器 | 機械加工、電気機器組立て、金属プレス加工、電子機器組立て、プリント配線板製造、配管、機械保全、舶用電気電子機器加工 |
新たな3業務区分でも、2号特定技能外国人の受け入れが可能です。
飲食料品製造業
特定技能外国人の受け入れが認められる事業所が追加され、食料品スーパーマーケットと総合スーパーマーケットの食料品部門での惣菜等の製造もできるようになります。
今後、上乗せ基準告示の改正が予定されています。
新たな業務でも2号特定技能外国人の受け入れができるようになります。
受け入れ企業の責務
受入れを見込む外国人の数が増加することを踏まえ、受け入れ企業に対して、外国人の安定的な在留活動を確保するとともに、地域での外国人との共生社会の実現に寄与する責務があることが特定技能制度の基本方針に加えられました。
今後のスケジュール
今後、省令・告示が改正され、準備が整い次第、段階的に受け入れが始まる予定です。