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随時届出のポイント!
特定技能所属機関(特定技能外国人の受入れ企業等)は、特定技能外国人の受入れ後、雇用契約の変更・終了、新たな雇用契約の締結、1号特定技能外国人支援計画の変更等をしたときは、地方出入国在留管理局に随時届出を行う必要があります。
この記事では、随時届出書類作成のポイントを詳しく解説しています。
※2023年8月31日に「特定技能外国人の受入れに関する運用要領」が改正され、雇用契約の随時届出の取扱いが一部変更になりました。
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届出の種類
・特定技能雇用契約に係る届出(雇用契約の変更・終了・新たな契約の締結)
・1号特定技能外国人支援計画変更に係る届出
・登録支援機関との支援委託契約に係る届出(契約の締結・終了・変更)
・受入れ困難に係る届出(自己都合退職、行方不明、傷病等)
・出入国または労働関係法令に関し不正または著しく不当な行為に係る届出
特定技能雇用契約に係る届出
雇用契約の内容を変更したとき、雇用契約を終了したとき、雇用契約を終了した後、在留期限内に同じ特定技能所属機関と再度雇用契約を締結したときは、「特定技能雇用契約に係る届出」が必要になります。
届出書類作成のポイント!
雇用契約の内容を変更した場合
▷雇用契約の変更内容が「軽微な変更」の場合は、届出は必要ありません。「軽微な変更」とは、報酬または労働条件以外の変更で、雇用契約に実質的な影響を与えない程度の変更です。
▷在留期間更新許可申請をするにあたり、労働条件を見直し、基本給、手当等を改正した雇用契約を新たに締結した場合は、更新許可申請の前に、雇用契約の変更に係る届出が必要になります。更新許可申請時に改正後の雇用条件を記載した雇用条件書を提出している場合でも、届出は必要になります。
※在留期間更新許可申請を行うのは外国人本人なので、申請時に提出された申請書類をもって、特定技能所属機関に課された届出義務が履行されたことにはなりません。
▷雇用契約の変更について、「変更年月日」とは、特定技能所属機関と特定技能外国人の合意により、契約の内容に変更(効力)が生じた日になります。
例)「10月1日から賃金を○○円にする」という内容の契約変更を9月1日に締結した場合は、変更年月日は10月1日になります。
▷特定技能所属機関の名称・住所が変わったときは、雇用契約の変更に係る届出は必要ありません。ただし、指定書の記載を補正する必要がありますので、指定書と登記事項証明書や住民票等の所属機関の名称・住所が分かる資料とともに入管に申し出る必要があります。
また、外国人本人から、所属(契約)機関の名称変更・所在地変更の届出が必要になります 。
▷当初は月単位の変形労働時間制を採用していたが、雇用契約が変更となり、1年単位の変形労働時間制に変更した場合は、届出が必要になります。
▷1年単位の変形労働時間制を採用していて、在留期間中に毎年、労使協定を締結し直し、毎年、年間カレンダーの中身が変わってる場合は、下記のいずれかに該当するときに限り、届出が必要になります。
・年間所定労働日数が増加する場合
・年間合計休日日数が減少する場合
▷労働時間について、社内の規則改訂により、始業時間および終業時間が変更になった場合や所定労働時間に変更がない場合は、届出の必要はありません。
▷労働関係法令の改定などに伴い労働条件に変更があった場合、変更により、諸手当の増額等により賃金が増加する場合は、届出は不要です。一方、基本賃金の減額や昇給がなくなる場合は、届出が必要になります。
▷賃金締切日、賃金支払日を変更した場合は、基本的には届出は不要ですが、変更に伴い、下記のような事例が発生する場合は、届出が必要になります。
例)毎月15日締切が毎月30日締切に変更し、変更時点の給与の支払間隔が1か月以上開く場合
毎月末日支払が翌月末日支払に変更し、変更時点の給与の支払間隔が1か月以上開く場合
雇用契約を終了した場合
▷雇用契約の終了に係る届出と、受入れ困難に係る届出の提出順序について、特定技能所属機関の都合または特定技能外国人の都合により雇用契約の終了がある程度見込まれた時点で、受入れ困難に係る届出を提出します。例えば、外国人から退職の申出があった場合、申出があった時点で受入れ困難に係る届出を提出します。その後、実際に雇用契約が終了した場合、雇用契約の終了に係る届出を提出します。
▷特定技能外国人が他の在留資格(日本人の配偶者等、技術・人文知識・国際業務等)への変更許可を受け在留資格が変更になったが、引き続き雇用を継続する場合は、たとえ、雇用契約を終了せず引き続き雇用する場合でも、在留資格が「特定技能」でなくなる見込みがたった時点で、受入れ困難に係る届出が必要になります。
▷雇用契約期間を2019年10月1日から2020年9月30日とし、契約を更新しないこととしていたが、もう1年就労してもらうため2020年10月1日を期首として新たに雇用契約を締結した場合は、2020年9月30日に雇用契約を一旦終了した形になるが、雇用契約の終了の届出と新たな雇用契約の締結に係る届出は、いずれも必要になります。
Ⅲ.新たな特定技能雇用契約の締結に係る届出
▷諸事情により雇用契約を終了した場合で、同じ在留期間内に同じ特定技能所属機関との間で、再度同じ特定産業分野で就労するとして雇用契約を締結した場合は、届出が必要になります。
なお、建設分野で新たな雇用契約を締結した場合は、国土交通省に建設特定技能受入計画の変更を申請し、新たに認定を受ける必要があります。
※ 他の所属機関との間で雇用契約を締結した場合や、同じ所属機関で就労する場合でも特定産業分野を変更する場合は、在留資格変更許可申請が必要になります。
支援計画変更に係る届出
支援計画の内容を変更した場合や支援責任者・担当者を変更した場合、委託する登録支援機関を変更したり自社支援に切り替えた場合は、「支援計画変更に係る届出」が必要になります。
届出書類作成のポイント!
雇用する外国人について、登録支援機関に支援の全部の実施を委託するとして支援計画書を作成し、在留資格「特定技能」の許可を受けたが、その後、支援内容は変わらず特定技能所属機関で自社支援することになった場合は、支援計画変更の届出が必要になります。また、登録支援機関との間で締結していた支援委託契約の終了に係る届出もあわせて必要になります。
支援委託契約に係る届出
支援委託契約の内容を変更した場合、支援委託契約を終了した場合、支援委託契約を締結した場合は、「支援委託契約に係る届出」が必要になります。
▷届出の必要がある支援委託契約とは、特定技能所属機関が雇用する特定技能外国人に対する支援について、その全部の実施を登録支援機関に委託する旨の契約が該当します。支援内容の全部を委託しない一部委託契約は、届出は不要です。
【届出が必要なケース】
これまで登録支援機関と支援委託契約を締結していたが、契約を終了して自ら支援を行う場合。
➡支援委託契約の終了に係る届出+支援計画変更に係る届出が必要
委託先の登録支援機関を変更する場合。
➡支援委託契約の終了または締結に係る届出+支援計画変更に係る届出が必要
受入れ困難に係る届出
特定技能外国人の受入れを継続することが困難となった場合は、「受入れ困難に係る届出」が必要になります。
実際に特定技能外国人が退職するか否かに関わらず、受入れ継続が困難となった時点で届出が必要になります。
例)自己都合退職、病気・けが、行方不明など。
特定技能外国人から退職したいとの申出があった場合は、実際に退職した日ではなく、申出があった日から14日以内に届出が必要になります。
届出書類作成のポイント!
▷受入れ困難に係る届出を提出する場合は、必ず「受入れ困難となるに至った経緯に係る説明書」を添付する必要があります。
▷受入れ困難に係る届出を提出した後に、事情の変更等により、雇用契約が継続することになり、雇用契約が終了しなかった場合は、雇用契約の終了の届出を提出する必要はありません。ただし、復職した経緯等について、入管に対し、受入れ困難届出の追加書類として事情を説明する文書を提出する必要があります。
▷特定技能外国人が急遽帰国することになったため、雇用契約を終了することになり、事前に受入れ困難に係る届出を提出することができなかった場合、雇用契約の終了の届出と同時に受入れ困難に係る届出を提出しても問題ありません。
▷特定技能外国人の一時帰国を理由に、一旦特定技能雇用契約を終了し再入国した後、同じ雇用条件で雇用契約を再度締結する予定の場合は、再入国した後に再度雇用契約を締結する予定でも、一旦雇用契約が終了する見込みがたった時点で受入れ困難に係る届出が必要になります。
▷「特定技能」から他の在留資格(技術・人文知識・国際業務、日本人の配偶者等)に変更した後も、引き続き同じ特定技能所属機関で働く予定の場合は、特定技能雇用契約が終了するので、受入れ困難に係る届出が必要になります。また、雇用契約終了に係る届出、登録支援機関に対して支援の全部の実施を委託していた場合は支援委託契約終了に係る届出も必要になります。
出入国・労働に関する法令に関し不正・著しい不当行為に係る届出
出入国または労働関係法令に関し、不正または著しく不当な行為があったことを知った場合は、「出入国または労働に関する法令に関し不正または著しく不当な行為(不当行為)に係る届出」が必要になります。
届出書類作成のポイント!
▷出入国に関する法令とは、主に出入国管理及び難民認定法や同法施行規則等が該当します。また、労働関係法令とは、主に労働基準法、労働安全衛生法等が該当します。
▷不正行為の主な類型は下記のとおりですが、これらに限らず労働関係法令に違反した場合なども不正または著しく不当な行為に該当するおそれがあります。
①外国人に対して暴行・脅迫・監禁する行為
②外国人の旅券また在留カードを取り上げる行為
③外国人に支給する手当または報酬の一部または全部の不払い
④外国人の外出その他私生活の自由を不当に制限する行為
⑤上記①から④までにに掲げるもののほか、外国人の人権を著しく侵害する行為
⑥虚偽文書の行使または提供
⑦保証金の徴収・財産の管理・雇用契約不履行に係る違約金等不当に金銭その他の財産の移転を予定する契約を締結する行為
⑧上記⑦の行為を行う者の紹介を受けて特定技能雇用契約を締結する行為
⑨特定技能所属機関による届出を提出せず、または虚偽の届出をする行為
届出期限
届出は、届出事由が生じた日から14日以内に提出する必要があります。
未来日を届出事由発生日とする届出を提出することはできません。
郵送で提出する場合は、届出事由が生じてから14日以内に入管に到達している必要があります。
14日以内に届出書を提出することができなかった場合は、届出が遅延した理由書を必ず添付して、速やかに提出する必要があります。
届出書の作成
届出書は、特定技能所属機関の役職員または特定技能所属機関から依頼を受けた行政書士・弁護士のみ作成することができます。
行政書士法等の法令に基づき、他人の依頼を受けて報酬を得て、官公署へ提出する文書を作成することが認められている行政書士・弁護士に対して委任することができます。これら以外の者に委任することは、行政書士法等に抵触するおそれがあるほか、適正な届出が履行されていないとみなされます。
外国人への支援実施のために登録支援機関と支援委託契約を締結していたとしても、登録支援機関に届出を委託することはできません。
届出は、特定技能所属機関の責任において行う必要がありますが、作成した届出書を提出する者については、特段の規定はありません。
届出書作成者以外の者が届出書を提出する場合は、届出書作成者(特定技能所属機関の役職員)の身分を証する文書の写しに加え、届出書を提出する方の氏名、連絡先、特定技能所属機関との関係を明らかにする委任状等の文書または資料を提出する必要があります。
届出方法
届出書は、特定技能所属機関の住所(法人の場合は、登記上の本店所在地)を管轄する入管窓口に持参または郵送により提出します。
インターネットによる電子届出も可能です。
なお、電子届出を利用する場合は、事前に利用者情報登録を行う必要があります。
届出を行わないとどうなる?
届出を行わなかったまたは虚偽の届出をした場合は、一定期間、雇用契約の締結ができない場合があるだけでなく、罰金刑や過料に問われる可能性がありますので注意が必要です。