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技能実習計画作成指導者の役目
技能実習生を受入れて技能実習を行わせるためには、実習実施者である受入れ企業は、技能実習生ひとりひとりの技能実習計画を作成し、技能実習機構から計画認定を受けなければなりません。
技能実習計画は、監理団体の指導に基づき作成しますが、その指導を行うのが技能実習計画作成指導者です。
技能実習計画作成指導者になれる人
技能実習計画は、実習実施者と十分に意思疎通を図って作成しなければならないので、技能実習生に修得させようとする技能について一定の知識と経験が求められます。
具体的には、監理団体の役職員(常勤・非常勤は問わない。)で、取扱職種について5年以上の実務経験がある人か、取扱職種の技能実習計画作成の指導歴がある人が担当しなければなりません。
5年以上の実務経験のレベルは、厳密な作業レベルまで一致する経験ではなく、職種単位で一致する経験であれば、作業の単位で異なる経験であっても認められます。例えば、下記の表で、「耕種農業職種」の「畑作・野菜作業」の計画指導をしようとする場合は、「畑作・野菜作業」の経験がなくても「施設園芸作業」の経験があれば、「畑作・野菜作業」の実務経験として認められ、計画指導者になることができます。
職種名 | 作業名 | 経験の有無 | 実務経験 |
---|---|---|---|
耕種農業 | 施設園芸 | 有 | 〇 |
畑作・野菜 | 無 | 〇 | |
果 樹 | 無 | 〇 |
技能実習計画作成の指導歴は、認定された技能実習計画の作成指導経験があることが必要です。単に補助者として技能実習計画の作成を手伝った経験は、指導歴とみなされません。
なお、技能実習計画作成指導者は、資格等の取得をする必要はありません。監理責任者等講習や、技能実習責任者講習等の受講は不要です。
技能実習計画作成指導者の役目
技能実習計画の作成指導をするにあたり、技能実習を行う事業所や技能実習生の宿泊施設を確認するほか、次の3つの観点から指導する必要があります。
①技能実習計画の認定基準、入管法令、労働関係法令への適合性
②適切かつ効果的な技能の修得
③技能実習を行わせる環境の適切な整備
特に大切なことは、技能実習生に従事させようとする作業が、技能実習を行わせる事業所で通常行われている内容であることを確認し、また、実習実施者に技能実習計画の審査基準を丁寧に説明し、業務の内容が必須業務等として実施可能であるかを確認することです。
技能実習計画作成指導者選任のポイント
技能実習計画作成指導者選任のポイントは、下記の3つです。
①監理団体の全ての取扱職種について、技能実習計画作成指導者を確保。
②全ての取扱職種を1人で担当しなければならない訳ではなく、2人以上で取扱職種ごとに分担して担当することも可能。
③要件を満たせば、1人で複数の職種を担当することも可能。
必要な書類
技能実習計画作成指導者を選任するには、技能実習計画作成指導者の履歴書を作成して提出します。
技能実習計画作成指導者が職員の場合は、雇用契約書または雇用条件通知書の写しを必ず添付しなければなりません。役員の場合は不要です。
技能実習計画の作成指導は、監理団体が自ら行わなくてはならないため、監理団体と雇用契約を締結していない人を技能実習計画作成指導者に選任し、実習実施者に技能実習計画の作成指導を行わせた場合は、名義貸し(法38条)に該当するおそれがあるので十分注意が必要です。
まとめ
技能実習計画を作成するにあたり、監理団体は技能実習計画作成指導者の指導により、技能実習制度の趣旨・目的について実習実施者に詳しく説明し、また、実習実施者が通常行っている作業内容についても十分に把握し、意思疎通を図って技能実習計画を作成しなければなりません。
適切な技能実習計画作成指導者を選任せず、監理団体の職員が審査基準モデル例をそのままコピペして技能実習計画を適当に作成するなど、虚偽の計画書類を提出することは許されません。
計画齟齬に対する監理団体の責任は大きいので、監理団体は適切な技能実習計画作成指導者を選任し、技能実習法令を遵守して技能実習計画の作成指導を行わなければなりません。