特定技能2号《農業》受入れガイド

農業の仕事をしている1号特定技能外国人などが、日本で長く働くために「特定技能2号」の在留資格を取得するには、技能試験の合格と実務経験が必要になります。

また、現在受入れている1号特定技能外国人などを2号特定技能外国人として引続き長く雇用したい受入れ企業は、2号特定技能外国人に「管理」の仕事をさせる必要があります。

この記事では、2号技能試験の内容、2号特定技能外国人の仕事内容、2号特定技能外国人の雇い方などを解説しています。

目次

試験合格と実務経験

技能試験の合格

2号特定技能外国人として農業の仕事をするためには、「2号農業技能測定試験」に合格する必要があります。

試験概要

受験言語日本語(専門用語の漢字にはフリガナあり)
受験資格▷試験日で、年齢が満17歳以上(国籍がインドネシアまたはミャンマーの場合は満18歳以上)
▷国内試験受験者は、在留資格を有する者を対象とし、退去強制令書の円滑な執行に協力するとして法務大臣が告示で定める外国政府または地域の権限ある機関の発行した旅券を所持していない者を除く。
▷試験日で、農業の現場での管理者としての2年以上の実務経験または農業の現場での3年以上の実務経験が必要
実施方法コンピュータ・ベースド・テスティング(CBT)方式(※)
(※)テストセンターでコンピュータを使用して出題され、受験者はブースでコンピュータの画面に表示される問題に画面上で解答
出題内容▷2号農業技能測定試験(耕種農業)
耕種農業全般の技能及び安全衛生管理等に関する学科及び実技問題
▷2号農業技能測定試験(畜産農業)
畜産農業全般の技能及び安全衛生管理等に関する学科及び実技問題
問題数50問程度(非採点問題を含む。非採点問題は正答率等の分析を行うために使われます)
試験時間60分間
試験水準日本国内での実務経験が7年以上の者であれば、3割程度が合格する水準
合否基準総合得点に対し、全国農業会議所が定める判定基準点を超えていること
合否通知試験終了後、5日程度で専用ウェブサイト上で確認

試験日程

2023年度の試験は終了しました。

次回の試験日等は、2024年4月以降に決定されます。

申込み方法

試験申込みの流れは、次のとおりです。

STEP
実務経験を証明するため、全国農業会議所へ書類を提出

受験資格の「農業の現場での管理者としての2年以上の実務経験または農業の現場での3年以上の実務経験」を証明するため、下記の書類を全国農業会議所へ提出します。

1.「2号特定技能外国人に求められる実務経験に係る証明書」(様式第1号)

  ※実務経験を証明する企業等が作成します。

2.「誓約書」(様式第2号)

  ※受検する外国人が作成します。

提出書類に不備や不適切な記載があった場合は、受検できないことがあります。

企業等が、受験する外国人から実務経験を証明する書面が欲しいと言われた場合は、書面(電磁的記録を含む。)を交付しなければならず、交付しない場合は、特定技能外国人の受入れができないこととなります。

STEP
内容確認後、アプリケーションナンバーが発行

全国農業会議所で「2号特定技能外国人に求められる実務経験に係る証明書」と「誓約書」の内容が確認されると、アプリケーションナンバーがメールで送られてきます。

STEP
予約受付サイトから試験に申込み

メールで送られてきたアプリケーションナンバーを確認し、専用の予約受付サイトから試験の申込みをします。

試験テキスト

試験学習用のテキスト(日本語PDF版)は、全国農業会議所から発行されています。
試験のサンプル問題は、現時点では公表されていません。

耕種農業
畜産農業

試験結果

2024年2月に実施された第2回の試験結果が公表されました。

スクロールできます
日程耕種農業畜産農業合 計
受験者数(人)合格者数(人)受験者数(人)合格者数(人)受験者数(人)合格者数(人)
2023年12月3831995712
2024年 2月16923392020843

実務経験

2号特定技能外国人として農業の仕事をするためには、現場で複数の作業員を指導しながら作業に従事し、工程を管理する者としての2年以上の実務経験または現場での3年以上の実務経験が必要になります。

耕種農業

「現場で複数の従業員を指導しながら作業に従事し、工程を管理する者としての2年以上の実務経験または耕種農業の現場での3年以上の実務経験」について

「複数の作業員を指導しながら作業に従事し、工程を管理する」とは、自然条件の変化に応じて自らの判断により農作業を行うとともに、2名以上の作業員を指導・監督し、作業工程を管理することを指し、指導を受ける作業員の国籍、職責は問いません。また、複数の作業員を指導する期間は必ずしも同一期間である必要はなく、繁閑期などの農業の特性により、管理業務に従事した期間のうち一部指導を行わない期間があっても問題ありません。
また、「耕種農業の現場での」実務とは、施設園芸、畑作・野菜、果樹等の耕種農業の現場で、自然条件の変化に応じて自らの判断により農作業に従事した経験を指します。

畜産農業

「現場で複数の従業員を指導しながら作業に従事し、工程を管理する者としての2年以上の実務経験または畜産農業の現場での3年以上の実務経験」について

「複数の作業員を指導しながら作業に従事し、工程を管理する」とは、家畜の個体や畜舎環境の変化に応じて自らの判断により農作業を行うとともに、2名以上の作業員を指導・監督し、作業工程を管理することを指し、指導を受ける作業員の国籍、職責は問いません。また、複数の作業員を指導する期間は必ずしも同一期間である必要はなく、飼養衛生管理などの畜産の特性により、管理業務に従事した期間のうち一部指導を行わない期間があっても問題ありません。
また、「畜産農業の現場での」実務とは、養豚、養鶏、酪農等の畜産農業の現場で、家畜の個体や畜舎環境の変化に応じて自らの判断により農作業に従事した経験を指します。

業務内容

2号特定技能外国人の業務内容は、次のとおりです。

▷耕種農業全般(栽培管理、農産物の集出荷・選別等)及び当該業務に関する管理業務
▷畜産農業全般(飼養管理、畜産物の集出荷・選別等)及び当該業務に関する管理業務

2号特定技能外国人は、1号特定技能外国人が従事する業務に加えて、管理業務を行う必要があります。

1号特定技能外国人
2号特定技能外国人
  • 耕種農業全般(栽培管理、農産物の集出荷・選別等)
  • 畜産農業全般(飼養管理、畜産物の集出荷・選別等)
  • 耕種農業全般(栽培管理、農産物の集出荷・選別等)及び当該業務に関する管理業務
  • 畜産農業全般(飼養管理、畜産物の集出荷・選別等)及び当該業務に関する管理業務

主たる業務

2号特定技能外国人は、熟練した技能を要する業務に従事することが求められ、試験合格により確認された技能を要する業務に主として従事しなければならず、栽培管理または飼養管理業務が従事する業務に含まれていることが必要です。

従事する主な業務

耕種農業

・各作物に応じた土壌づくり
・施肥作業
・種子、苗木の取扱い
・資材、装置の取扱い
・栽培に関する作業
・安全衛生業務
・管理業務(農場管理、品質管理、人材育成など) 

畜産農業

・各畜種に応じた器具の取扱い
・個体の取扱い、観察
・飼養管理
・生産物の取扱い
・安全衛生業務
・管理業務(農場管理、品質管理、人材育成など) 

関連業務

当該業務に従事する日本人が通常従事する関連業務に付随的に従事することは問題ありませんが、専ら関連業務に従事することは認められません。

【関連業務の例】
・ 受入れ企業が生産した農畜産物を原料または材料の一部として使用する製造または加工の作業
・ 受入れ企業による農畜産物の生産に伴う副産物(稲わら、家畜排泄物等)を原料または材料の一部として使用する製造または加工の作業
・ 農畜産物(受入れ企業が生産した農畜産物が含まれる場合に限る。)の運搬、陳列または販売の作業
・ 農畜産物を原料または材料として製造され、または加工された物(受入れ企業が生産した農畜産物を原料または材料の一部として使用し、製造され、または加工された物が含まれる場合に限る。)の運搬、陳列または販売の作業
・ 農畜産物の生産に伴う副産物を原料または材料として製造され、または加工された物(受入れ企業による農畜産物の生産に伴う副産物を原料または材料の一部として使用し、製造され、または加工された物(たい肥等の肥料、飼料等)が含まれる場合に限る。)の運搬、陳列または販売の作業
・ その他受入れ企業で耕種農業または畜産農業の業務に従事する日本人が通常従事している作業(畜産農業と耕種農業を複合経営している受入れ企業で畜産農業の技能を有する特定技能外国人が耕種農業の作業に従事する場合、冬場の除雪作業に従事する場合など)など

《労働時間、休憩及び休日への配慮
特定技能雇用契約は、労働基準法その他の労働に関する法令の規定に適合している必要があります。農業については、日本人が従事する場合と同様に、労働時間、休憩、休日に関する労働基準法の規定は適用除外となりますが、特定技能外国人が、健康で文化的な生活を営み、職場での能率を長期間にわたって維持していくため、特定技能外国人の意向も踏まえつつ、労働基準法に基づく基準も参考にしながら、過重な長時間労働とならないよう、適切に労働時間を管理するとともに、適切に休憩と休日を設定しなければなりません。なお、労働基準法の規定の適用除外となるのは、労働時間、休憩、休日に関する規定だけであり、深夜勤務の深夜割増賃金やその他の規定については適用除外にならないことに留意する必要があります。

在留資格申請

実務経験を証明し試験に合格すれば、受入れ予定企業と外国人が雇用契約を締結し、在留資格申請を行います。

弁護士及び行政書士以外の者が、在留資格変更許可申請書を含む官公署に提出する申請書等の書類の作成を報酬を得て業として行うことは、行政書士法違反に当たり認められません。

特定技能2号のポイント

雇用期間

2号特定技能外国人の雇用期間に制限はありません。

「特定技能2号」では、3年、1年、6月のいずれかの在留期間が付与され、その都度、更新手続きが必要となりますが、更新回数の制限はありません。

家族の帯同

2号特定技能外国人は、要件を満たせば、配偶者と子の帯同が可能です。

《家族の在留資格と家族ができる就労》
帯同する家族は、2号特定技能外国人の扶養を受ける配偶者または子として「家族滞在」の在留資格を取得し、日本で滞在することになります。
「家族滞在」の在留資格では、原則として就労は認められていませんが、「資格外活動許可」を得ている場合に限り、週28時間以内のアルバイトが可能です。

《受入れ企業のサポートや対応》
2号特定技能外国人が家族を帯同する場合、受入れ企業には以下のようなサポートや対応が求められます。
 ・家族が一緒に住める住居確保へのサポート
 ・就学児童等が居れば、通学できる学校や教育機関の確認
 ・子供や家族が安心できる病院等の確認
 ・公的手続き等へのサポート
 ・その他生活に必要な契約等のサポート

支援の有無

「特定技能2号」は、受入れ企業または登録支援機関の支援は不要となり、登録支援機関の関与はなくなります。

特定技能2号の疑問点

「特定技能2号」とは、どのような在留資格ですか?

「特定技能2号」は、熟練した技能を持つ外国人のための在留資格であり、「特定技能1号」より高い技能を持つことが必要です。熟練した技能水準を持っていることは、試験と実務経験により確認されます。

「特定技能1号」を経れば、自動的に「特定技能2号」に移行できますか?

「特定技能1号」で通算の在留期間の上限5年間働いたとしても、「特定技能2号」の試験に合格しないと移行できません。

「特定技能1号」を経なくても、「特定技能2号」の在留資格を取得することができますか?

産業分野ごとに定められた試験に合格して実務経験の要件を満たせば、「特定技能1号」の途中でも「特定技能2号」に移行できます。

「特定技能2号」でも、各種届出や定期面談は必要ですか?

「特定技能2号」の外国人は、受入れ機関または登録支援機関による支援が不要なため、定期面談と定期の「支援実施状況に係る届出」の提出は不要です。一方で、定期の「受入れ活動状況に係る届出」と随時の各種届出は、「特定技能1号」の場合と同様に必要です。

「特定技能2号」は、「特定技能1号」のような通算の在留期間の上限が設けられていませんが、実質的に永住者と同じということですか?

「特定技能2号」は、専門的・技術的分野の在留資格の「技術・人文知識・国際業務」等と同様、一定期間ごとに在留期間の更新が必要であり、退職等で「特定技能2号」の活動を終了した場合は更新が認められません。この点、在留期間の更新の必要がなく、活動内容に制限のない永住者とは異なります。

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この記事を書いた人

三木 秋穂のアバター 三木 秋穂 特定行政書士・申請取次行政書士

淡路島の走る行政書士/Luật Sư Hành Chính/行政書士事務所8年経営/日本で頑張る特定技能外国人サポート+技能実習/車と農地と建設業の手続きもやります/愛媛県イメージアップキャラクター「みきゃん」応援団/山登りと長渕剛の歌と神社巡りが好きです/ベトナム料理を食べ歩いています
▷1972年(昭和47年)9月21日生まれ
▷兵庫県行政書士会所属
▷兵庫県行政書士会申請取次行政書士管理委員会副委員長
▷兵庫県行政書士会淡路支部理事

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