登録支援機関は書類作成できない?2026年行政書士法改正で明確化される違法リスクと対策

2025(令和7)年6月末現在の特定技能在留外国人数は336,196人となり、登録支援機関が特定技能外国人支援の現場で果たす役割は年々大きくなっています。

一方で、「在留資格申請書類等の作成まで支援機関が行ってよいのか」という点について、現場では誤解や安易な運用が散見されます。

2026(令和8)年1月1日施行の行政書士法改正を契機に、登録支援機関による在留資格申請書類等の作成は、明確に行政書士法違反となるリスクが高まっています。

本ページでは「登録支援機関が書類作成できないのか」、「2026年行政書士法改正による影響」、「違法リスクと適法な対策」について、登録支援機関である行政書士が特定技能制度の実務目線で整理して解説します。

目次

2026年行政書士法改正とは?登録支援機関への影響

2026(令和8)年の法改正は、行政書士の独占業務である「官公署に提出する書類の作成」について、行政書士でない無資格者が、「申請サポート費」や「事務手数料」など、どのような名目でも対価を受領して業として行うことは行政書士法に違反することを明確にし、無資格者による違反行為の更なる抑制を図ることを目的としています。

具体的には、条文に以下の文言が追加され、無資格者による業務の制限規定の趣旨が明確化されます。

「他人の依頼を受けいかなる名目によるかを問わず報酬を得て」

◆行政書士法第19条第1項

改正前
改正後
  • 行政書士または行政書士法人でない者は、他人の依頼を受け報酬を得て、業として官公署に提出する書類(その作成に代えて電磁的記録)を作成する業務を行うことができない。
  • 行政書士または行政書士法人でない者は、他人の依頼を受けいかなる名目によるかを問わず報酬を得て、業として官公署に提出する書類(その作成に代えて電磁的記録)を作成する業務を行うことができない。

これにより、これまでいわゆるグレーゾーンと解釈されることもあった以下のケースでは、法改正後は明確な違法行為(行政書士法違反)となります。

月々の「支援委託費」の中に書類作成費を含め、在留資格諸申請書を作成する
「申請サポート費」、「事務手数料」などの名目で費用を受領し、在留資格諸申請書を作成する

登録支援機関が受入れ企業から書類作成の対価を受け取り、その報酬の一部を行政書士に外注する形で仲介・中抜きするようなスキームは、法改正により明確に禁止されるため、受入れ企業と行政書士との直接契約を徹底する必要があります。

登録支援機関は、なぜ「書類作成ができない」のか?

登録支援機関の役割

登録支援機関は、入管庁により登録を受け、1号特定技能外国人に対し、生活支援・相談対応・支援計画の実施などの「支援」を行うことが役割です。

主な支援業務

生活オリエンテーションの実施
相談・苦情対応
日本語学習支援
行政機関等への同行支援
定期的な面談
情報提供・連絡調整

登録支援機関の役割は、上記のような1号特定技能外国人の「支援」であり、入管庁へ申請する「書類作成」は認められません。

行政書士法による書類作成の独占業務

行政書士法では、「報酬を得て、業として官公署に提出する書類を作成すること」を行政書士の独占業務と定められています。

ここでいう「報酬を得て、業として官公署に提出する書類」には、

在留資格認定証明書交付申請書、在留資格変更許可申請書、在留期間更新許可申請書
1号特定技能外国人支援計画書
在留資格諸申請書類の添付説明書類

などが含まれます。

たとえ「支援の一環」として書類を作成したとしても、行政書士法に違反してしまいます。

登録支援機関がやりがちな違法となる典型例

登録支援機関の次のような行為は、行政書士法違反と判断される可能性が高いといえます。

月々の「支援委託費」の中に書類作成費を含め、在留資格諸申請書を作成している
「申請サポート費」、「事務手数料」などの名目で費用を受領し、在留資格諸申請書を作成している

「書類作成」と「申請取次」は別もの

登録支援機関の職員の方が入管庁から承認を得ている場合、外国人本人と受入れ企業の職員が作成した書類を「提出」する申請取次は可能ですが、報酬を得て書類を「作成」することはできません 。

実務で混同されがちですが、「書類作成」と「申請取次」は明確に区別されます。

書類作成
申請取次
  • 在留資格該当性・上陸許可基準適合性を判断し、申請書類を作成すること(行政書士の独占業務)
  • 外国人本人と受入れ企業の職員が作成した申請書類を入管に提出すること

「 取次ができても、書類作成はできない」、これが原則です。

登録支援機関ができること/できないこと

業務内容可否判断
制度の一般的な説明
必要書類の案内
在留資格申請書の作成×
在留申請オンラインシステムでの申請情報の入力×
1号特定技能外国人支援計画書の作成×
理由書・説明書の作成×
在留資格申請書の提出△※

※申請等取次者としての承認を受けている場合は提出可能。
※受入れ企業から1号特定技能外国人支援計画の全部の実施を委託されているいる場合は提出可能。

法人に及ぶ重いペナルティ(両罰規定)

2026(令和8)年の改正行政書士法に違反した場合、実際に書類作成を行った担当者だけでなく、法人(登録支援機関)にも罰則が科される「両罰規定」が定められました。

罰則: 1年以下の拘禁刑(懲役・禁錮)または100万円以下の罰金
信用の失墜: 違法行為の発覚による、受入れ企業からの取引停止

刑罰に処されたり、取引先からの信用が失墜するなど、「知らなかった」では済まされない、事業存続に関わる重大なリスクとなります。

適法に運用するための対応策

特定技能制度は、今後、厳格な運用が進むと考えられます。
その中で、「今までやってきた」、「知らなかった」という理由は、通用しなくなります。

制度に精通した行政書士との連携

登録支援機関の役割は、1号特定技能外国人が日本で円滑に活動できるよう「生活支援・相談対応・支援計画の実施」などの支援業務を行うことです。行政書士法改正後は、リスクを回避し、適法に事業を継続するために、特定技能・技能実習(育成就労)制度に精通した行政書士と連携し、業務の明確な切り分けが不可欠になります。

登録支援機関: 生活支援、定着支援、企業との連絡調整
行政書士: 在留資格認定・変更・更新等に係る書類作成および提出

登録支援機関側の対応

①受入れ企業との各種契約書・見積書に「在留資格諸申請書類作成を含まない」ことを明記する
➁法令違反にならないように業務フローの見直しをする
③行政書士法改正の内容と、書類作成が違法となることを社内で徹底的に周知する
④特定技能・技能実習(育成就労)制度に精通した行政書士との連携を強化する

受入れ企業側の対応

①「登録支援機関に全て任せているから大丈夫」という認識を改める
➁登録支援機関との各種契約・見積内容を再確認する
③在留資格申請書類の作成は、登録支援機関と連携している行政書士へ直接依頼する
④自社で1号特定技能外国人を支援する体制の整備を検討する

選ばれる登録支援機関になるために

登録支援機関は、特定技能制度を支える重要な存在です。
しかし、その役割は「支援」に限定されており、報酬を得て業としての「書類作成」は認められておりません。

行政書士法改正を機に、登録支援機関・受入れ企業・行政書士の3者が協力し、特定技能外国人の適切な在留管理・在留支援を行う体制作りが不可欠です。

専門の行政書士にご相談ください

改正法が施行されました。既存の契約書類に「支援委託費」、「申請サポート費」、「事務手数料」などの名目で対価を受取り申請書を作成するといった条項がある場合は、速やかに見直しが必要です 。

当事務所は、2020年に登録支援機関に登録し、これまで継続して支援業務を行っており、特定技能制度に精通しております。登録支援機関様が安心して支援業務に専念できるよう、書類作成のプロフェッショナルとして連携体制を整えております。

登録支援機関様の法令遵守(コンプライアンス)の徹底は、特定技能外国人受入れ企業の信頼に直結します。法令を遵守し、受入れ企業様と外国人双方を守るため、行政書士との業務連携をご検討ください。

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この記事を書いた人

三木 秋穂のアバター 三木 秋穂 特定行政書士・申請取次行政書士

淡路島の走る行政書士/Luật Sư Hành Chính/行政書士事務所10年経営/日本で頑張る特定技能外国人サポート+技能実習/車と農地と建設業の手続きもやります/愛媛県イメージアップキャラクター「みきゃん」応援団/山登りと長渕剛の歌と神社巡りが好きです/ベトナム料理を食べ歩いています
▷1972年(昭和47年)9月21日生まれ
▷兵庫県行政書士会所属
▷兵庫県行政書士会 理事
▷兵庫県行政書士会淡路支部 副支部長・理事

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