特定技能2号《宿泊》受入れガイド

日本で長く働き続けたい1号特定技能外国人にとって、「特定技能2号」の在留資格取得は、キャリアの大きなステップアップであり、必須の条件となります。この在留資格を取得するためには、一定の実務経験を積み、技能試験に合格することが求められます。

また、企業にとっても、高く評価している1号特定技能外国人を、2号特定技能外国人として継続的に雇用することには大きなメリットがあります。熟練した人材を確保し、企業全体の活性化や競争力の向上に繋がるだけでなく、社員のさらなる成長も期待できます。

この記事では、2号技能試験の内容、2号特定技能外国人の具体的な仕事内容、そして彼らをどのように効果的に雇用するかについて詳しく解説しています。

目次

試験合格と実務経験

技能試験の合格

2号特定技能外国人として宿泊の仕事をするためには、「宿泊分野特定技能2号評価試験」に合格する必要があります。

試験概要

受験言語日本語
受験資格▷試験日において満17歳以上(国籍がインドネシアの場合は満18歳以上)
▷受験日の翌日から起算して45日間経過後まで再試験不可
▷試験日の前日までに、宿泊施設で複数の従業員を指導しながら、フロント、企画・広報、接客、レストランサービス等の業務に2年以上従事した実務経験を有する者
実施方法CBT(Computer Based Testing)
問題数学科試験: 50問
実技試験: 20問
試験時間60分
試験水準実務経験7年以上の者が3割合格できる水準
合否の基準学科試験・実技試験、それぞれの正答率が65%以上で合格

試験日程

試験実施期間:2024年5月7日2025年3月10日
試験予約受付期間:2024年4月25日~2025年3月5日
※試験日の59日前から予約可能

申込み方法

試験申込みの流れは、次のとおりです。

STEP
実務経験を証明するため、宿泊業技能試験センターへ書類を提出

受験資格の「宿泊施設において複数の従業員を指導しながら、フロント、企画・広報、接客、レストランサービス等の業務に2年以上従事した実務経験」を証明するため、下記の書類を宿泊業技能試験センターへ提出します。

「宿泊分野2号特定技能外国人に求められる実務経験に係る証明書」

  ※実務経験を証明する企業が作成します。

企業が、受験する外国人から実務経験を証明する書面が欲しいと言われた場合は、書面(電磁的記録を含む。)を交付しなければならず、交付しない場合は、特定技能外国人の受入れができなくなります。

STEP
内容確認後、プロメトリック申請番号が発行

宿泊業技能試験センターで「2号特定技能外国人に求められる実務経験に係る証明書」の内容が確認されると、プロメトリック申請番号がメールで送られてきます。

STEP
予約受付サイトから試験に申込み

メールで送られてきたプロメトリック申請番号を確認し、専用の予約受付サイトから試験の申込みをします。

試験テキスト

試験学習用のテキストは、全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会のホームページよりダウンロードできます。
試験のサンプル問題は、公表されていません。

試験結果

試験実施後30日を目途に、一般社団法人宿泊業技能試験センターのウエブサイトに試験合格者のID番号が公表されます。

合格証明書交付の流れ

なお、合格者と受入れ企業で雇用契約が結ばれることが決定した場合は、合格者及び受入れ企業双方から試験センターへ合格証の発行申請を行います。受入企業を通じて受験者に試験合格証明書が交付されます。

特定技能ビザの申請に必要な「合格証明書」の交付は、合格者と採⽤企業の双⽅から申請する必要があります。

実務経験

2号特定技能外国人として宿泊の仕事をするためには、宿泊施設で複数の従業員を指導しながら、フロント、企画・広報、接客、レストランサービス等の業務に2年以上従事した実務経験が必要になります。

業務内容

2号特定技能外国人の業務内容は、次のとおりです。

複数の従業員を指導しながら、旅館やホテルにおけるフロント、企画・広報、接客、レストランサービス等の宿泊サービスの提供業務

1号特定技能外国人
2号特定技能外国人
  • 宿泊施設におけるフロント、企画・広報、接客、レストランサービス等の宿泊サービスの提供に従事する業務
  • 複数の従業員を指導しながら、宿泊施設におけるフロント、企画・広報、接客、レストランサービス等の宿泊サービスの提供に従事する業務

主たる業務

2号特定技能外国人は、熟練した技能を要する業務に従事することが求められ、試験合格により確認された技能を要する業務に主として従事しなければならず、宿泊施設におけるフロント、企画・広報、接客及びレストランサービス等の宿泊サービスの提供に係る業務に幅広く従事する必要があります。ただし、職場の状況に応じて、例えば、許可された在留期間全体の中の一部の期間においてフロント係に配置されるなど、特定の業務のみに従事することは問題ありません。

従事する主な業務

複数の従業員を指導しながら、主に以下の業務に従事
・フロント業務(チェックイン/アウト、周辺の観光地情報の案内、ホテル発着ツアーの手配等)
・企画・広報業務(キャンペーン・特別プランの立案、旅館やホテル内案内チラシの作成、HP、SNS等による情報発信等)
・接客業務(旅館やホテル内での案内、宿泊客からの問い合わせ対応等)
・レストランサービス業務(注文への応対やサービス(配膳・片付け)、料理の下ごしらえ・盛りつけ等の業務等)

関連業務

当該業務に従事する日本人が通常従事する関連業務に付随的に従事することは問題ありませんが、専ら関連業務に従事することは認められません。

【関連業務の例】
・ 旅館、ホテルの施設内の土産物等売店における販売業務
・ 旅館、ホテルの施設内の備品の点検・交換業務

受入れ企業の条件

2号特定技能外国人を受入れるための特定技能所属機関(受入れ企業)の条件は、次の4つです。

1.対象
 ①旅館業法第2条第2項に規定する「旅館・ホテル営業」の許可を受けた者であること
 ②風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(以下「風俗営業法」という。)第2条第6項第4号に
  規定する「施設」に 該当しないこと
 ③特定技能外国人に対して風俗営業法第2条第3項に規定する「接待」を行わ せないこと
2.国土交通省が設置する「宿泊分野特定技能協議会」(以下「協議会」という。)の構成員になること
3.協議会に対し、必要な協力を行うこと
4.国土交通省またはその委託を受けた者が行う調査または指導に対し、必要な協力を行うこと
5.特定技能外国人からの求めに応じ、実務経験を証明する書面を交付すること

在留資格申請

実務経験を証明し試験に合格すれば、企業と外国人が雇用契約を締結し、必要書類を揃え、出入国在留管理局へ在留資格申請を行います。

弁護士及び行政書士以外の者が、在留資格変更許可申請書を含む官公署に提出する申請書等の書類の作成を報酬を得て業として行うことは、行政書士法違反に当たり認められません。

特定技能2号のポイント

雇用期間

2号特定技能外国人の雇用期間に制限はありません。

「特定技能2号」では、3年、1年、6月のいずれかの在留期間が付与され、その都度、更新手続きが必要となりますが、更新回数の制限はありません。

家族の帯同

2号特定技能外国人は、要件を満たせば、配偶者と子の帯同が可能です。

《家族の在留資格と家族ができる就労》
帯同する家族は、2号特定技能外国人の扶養を受ける配偶者または子として「家族滞在」の在留資格を取得し、日本で滞在することになります。
「家族滞在」の在留資格では、原則として就労は認められていませんが、「資格外活動許可」を得ている場合に限り、週28時間以内のアルバイトが可能です。

《受入れ企業のサポートや対応》
2号特定技能外国人が家族を帯同する場合、受入れ企業には以下のようなサポートや対応が求められます。
 ・家族が一緒に住める住居確保へのサポート
 ・就学児童等が居れば、通学できる学校や教育機関の確認
 ・子供や家族が安心できる病院等の確認
 ・公的手続き等へのサポート
 ・その他生活に必要な契約等のサポート

支援の有無

「特定技能2号」は、受入れ企業または登録支援機関の支援は不要となり、登録支援機関の関与はなくなります。

特定技能2号の疑問点

「特定技能2号」とは、どのような在留資格ですか?

「特定技能2号」は、熟練した技能を持つ外国人のための在留資格であり、「特定技能1号」より高い技能を持つことが必要です。熟練した技能水準を持っていることは、試験と実務経験により確認されます。

「特定技能1号」を経れば、自動的に「特定技能2号」に移行できますか?

「特定技能1号」で通算の在留期間の上限5年間働いたとしても、「特定技能2号」の試験に合格しないと移行できません。

「特定技能1号」を経なくても、「特定技能2号」の在留資格を取得することができますか?

産業分野ごとに定められた試験に合格して実務経験の要件を満たせば、「特定技能1号」の途中でも「特定技能2号」に移行できます。

「特定技能2号」でも、各種届出や定期面談は必要ですか?

「特定技能2号」の外国人は、受入れ企業または登録支援機関による支援が不要なため、定期面談と定期の「支援実施状況に係る届出」の提出は不要ですが、定期の「受入れ活動状況に係る届出」と随時の各種届出は、「特定技能1号」の場合と同様に必要です。

「特定技能2号」は、「特定技能1号」のような通算の在留期間の上限が設けられていませんが、実質的に永住者と同じということですか?

「特定技能2号」は、専門的・技術的分野の在留資格の「技術・人文知識・国際業務」等と同様、一定期間ごとに在留期間の更新が必要であり、退職等で「特定技能2号」の活動を終了した場合は更新が認められません。この点、在留期間の更新の必要がなく、活動内容に制限のない永住者とは異なります。

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秋穂事務所では、2号特定技能外国人の受入れ前から受入れ後まで、外国人がキャリアアップしつつ活躍できる仕組みを受入れ企業様と共に作るためのサポートをさせていただきます。

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この記事を書いた人

三木 秋穂のアバター 三木 秋穂 特定行政書士・申請取次行政書士

淡路島の走る行政書士/Luật Sư Hành Chính/行政書士事務所8年経営/日本で頑張る特定技能外国人サポート+技能実習/車と農地と建設業の手続きもやります/愛媛県イメージアップキャラクター「みきゃん」応援団/山登りと長渕剛の歌と神社巡りが好きです/ベトナム料理を食べ歩いています
▷1972年(昭和47年)9月21日生まれ
▷兵庫県行政書士会所属
▷兵庫県行政書士会申請取次行政書士管理委員会副委員長
▷兵庫県行政書士会淡路支部理事

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