特定技能2号《外食》受入れガイド

日本で長く働き続けたい1号特定技能外国人にとって、「特定技能2号」の在留資格取得は、キャリアの大きなステップアップであり、必須の条件となります。この在留資格を取得するためには、一定の実務経験を積み、技能試験と日本語試験に合格することが求められます。

また、企業にとっても、高く評価している1号特定技能外国人を、2号特定技能外国人として継続的に雇用することには大きなメリットがあります。熟練した人材を確保し、企業全体の活性化や競争力の向上に繋がるだけでなく、社員のさらなる成長も期待できます。

この記事では、2号技能試験の内容、2号特定技能外国人の具体的な仕事内容、そして彼らをどのように効果的に雇用するかについて詳しく解説しています。

目次

試験合格と実務経験

技能試験と日本語試験の合格

2号特定技能外国人として外食の仕事をするためには、「外食業特定技能2号技能測定試験」と「日本語能力試験(N3以上)」に合格する必要があります。

特定技能2号技能測定試験

試験概要
受験言語日本語(漢字にルビは付いていません。)
受験資格▷試験の日に、在留資格を有する人
▷試験の日に、満17歳以上の人
▷有効なパスポートを持っていること
▷試験の前日までに外食業分野で複数のアルバイト従業員や特定技能外国人等を指導・監督しながら接客を含む作業に従事し、店舗管理を補助する者としての実務経験(以下「指導等実務経験」という。)を2年以上有すること。または、試験の前日までに指導等実務経験が2年に満たない者は、試験の日から6か月以内に指導等実務経験を2年以上有することが見込まれること
実施方法ペーパーテスト方式(マークシート)
問題数学科試験: 35問・120点
実技試験: 20問・130点
試験時間70分
受験料14,000円(税込)
合否の基準満点(250点)の65%以上
試験日程

試験日:第1回 2024年5月下旬~6月上旬(終了)
    第2回 2024年10月中旬~10月下旬(申込受付終了)
    第3回 2025年1月上旬~1月下旬(11月19日から申込開始)

申込み方法

試験申込は、当面、2号特定技能外国人を雇用しようとする企業(外食業を営む企業に限る)からしか申込できません。外国人本人からの申込はできません。(2024年2月時点)

試験申込から受験までの流れは、下記のとおりです。

STEP
企業マイページの仮登録、本登録

1. 仮登録は、下記の「企業用マイページ 仮登録フォーム」から行います。


2.本登録は、下記の「企業用マイページ」から行います。

STEP
受験者登録

「企業マイページ」から受験者登録を行います。

※特定技能2号試験の受験者登録には、「指導等実務経験証明書」または「指導等実務経験に係る誓約書」の 提出が必須です。

STEP
試験申込み

「企業用マイページ」内の試験申込・受験状況タブから申込をします。

STEP
受験者同意と受験料の支払

受験者が受験申請企業からの受験申請により受験することに同意し、受験料を支払います。

STEP
受験票のダウンロード

受験者の受験票は企業マイページにアップされるので、企業担当者が受験票をダウンロードして、企業から受験者に渡します。

STEP
受験

試験当日、受験者が必要書類を忘れたり、在留資格があることが受付で確認できない場合は、試験を受けることができません。

試験テキスト

試験学習用のテキストは、(一社)日本フードサービス協会のホームページからダウンロードできます。
試験のサンプル問題は、公表されていません。

試験結果

合格発表は、OTAFFのホームページに公表されたスケジュールで行われます。ホームページ上に合格者の受験番号が公表され、企業マイページで受験者ごとの合否が表示されます。
受験者登録時点で、指導等実務経験証明書を提出し不備が無かった受験者には、合否発表と同時に合格証書が企業マイページにアップされます。

日本語能力試験(JLPT)の合格

外食業では、消費者と接する機会が多く、相当程度の日本語によるコミュニケーション能力を有していることが必須です。そのため、2号特定技能外国人には、業務に必要な技能としてN3以上の日本語力が求められます。

実施回数:年2回(7月・12月)
2024年の実施スケジュール
第1回 試験日:2024年7月7日(日)
第2回 試験日:2024年12月1日(日)

「日本語能力試験(N3以上)」の合格は、外食業分野の在留資格取得要件となっています。出入国在留管理局に在留資格の申請をする際に合格証が必要となるので、それまでに合格する必要があります。

実務経験

2号特定技能外国人として外食の仕事をするためには、食品衛生法の営業許可を受けた飲食店で、複数のアルバイト従業員や特定技能外国人等を指導・監督しながら接客を含む作業に従事し、店舗管理を補助する者(副店長、サブマネージャー等)としての2年間の実務経験が必要になります。

▷店舗管理補助者の実務経験とは、店長や事業所責任者が行う店舗管理(衛生管理全般、求人・雇用に関する事務、顧客情報の管理、会計事務管理、食材・消耗品・備品の補充・発注・数量管理等)の補助業務の経験をいいます。
▷実務経験を積む上で、できるだけ、辞令や職務命令書等を出し、役職(例えば副店長、サブマネージャー、サブリーダー、班長、事業所副責任者等のような役職)を命じ、業務に従事させるようにします。なお、辞令や職務命令書等を出していない場合は、例えば、店舗管理補助者の手当を支払っていることが分かる給与明細など、店舗管理補助者としていつの時点から複数の従業員を指導しているのかが分かるものを用意する必要があります。

▷国外の飲食店等での実務経験は、店舗管理補助者としての実務経験には含まれません。
▷技能実習時の期間の経験は、店舗管理補助者としての実務経験には含まれません。
▷留学生の期間にアルバイトとして積んだ経験は、店舗管理補助者としての実務経験には含まれません。

業務内容

2号特定技能外国人には、試験等で立証された能力を用いて外食業全般(飲食物調理、接客、店舗管理)及び店舗経営の業務について、トータルで管理できる人材として、従事させる必要があります。
そのため、例えば、店舗経営・管理の業務に加え、接客、飲食物調理をさせることも問題ありません。

主たる業務

2号特定技能外国人の業務内容は、次のとおりです。

(1)飲食物調理:客に提供する飲食料品の調理、調整、製造
(2)接客:客に飲食料品を提供するために必要な飲食物調理以外の業務
(3)店舗管理:店舗の運営に必要となる上記(1)、(2)業務以外
(4)店舗経営:店舗をトータルで管理するために必要な上記1(1)~(3)の業務以外
   (店舗の経営分析、経営管理、契約に関する事務等)

従事する主な業務

下記の外食業全般業務の管理及び店舗経営(店舗の経営分析、経営管理、契約に関する事務等)

飲食物調理

食材仕込み、加熱調理、非加熱調理、調味、盛付け、飲食料品の調製 等


接客

席への案内、注文伺い、配膳、下膳、代金受取り、食器・容器等の回収、予約受付、客席のセッティング、苦情等への対応 等

店舗管理

店舗内の衛生管理全般、従業員のシフト管理、予約客情報の管理、各種機器・設備のメンテナンス、食材・備品の補充、発注、宣伝・広告の企画 等

関連業務

当該業務に従事する日本人が通常従事する関連業務に付随的に従事させることは問題ありませんが、専ら関連業務に従事させることは認められません。

【関連業務の例】
・店舗で原材料として使用する農林水産物の生産
・客に提供する調理品等以外の物品の販売

受入れ企業の条件

特定技能外国人を受入れるためには、特定技能所属機関(受入れ企業)は外国人を飲食店、持ち帰り飲食サービス業、配達飲食サービス業、給食事業等の飲食サービス業を行っている事業所に就労させる必要があります。

【事業所の例】
▷客の注文に応じ調理した飲食料品、その他の飲食料品をその場で飲食させる飲食サービス業(例:食堂、レストラン、料理店等の飲食店、喫茶店等)
▷飲食することを目的とした設備を事業所内に有さず、客の注文に応じ調理した飲食料品を提供する持ち帰り飲食サービス業(例:持ち帰り専門店等)
▷客の注文に応じ、事業所内で調理した飲食料品を客の求める場所に届ける配達飲食サービス業(例:仕出し料理・弁当屋、宅配専門店、配食サービス事業所等)
▷客の求める場所において調理した飲食料品の提供を行う飲食サービス業(例:ケータリングサービス店、給食事業所等)

また、特定技能外国人を受入れるためには、企業に次の8つ条件が課されます。

1.風俗営業法に規定する風俗営業と性風俗関連特殊営業を営む営業所において就労を行わせないこと
2.特定技能外国人に対して、風俗営業法第2条第3項に規定する「接待」を行わせないこと
3.「食品産業特定技能協議会」の構成員になること
4.協議会に対し、必要な協力を行うこと
5. 農林水産省またはその委託を受けた者が行う調査等に対し、必要な協力を行うこと
6.登録支援機関に1号特定技能外国人支援計画の実施を委託するに当たっては、協議会の構成員となっており、かつ、農林水産省及び協議会に対して必要な協力を行う登録支援機関に委託すること
7.特定技能外国人に対するキャリアアッププランのイメージをあらかじめ設定し、雇用契約を締結する前に書面を交付して説明すること
8.特定技能外国人からの求めに応じ、実務経験を証明する書面を交付すること

〈キャリアアッププランの内容の例〉
・想定されるキャリアルート
・各レベルの業務内容及び習熟の目安となる年数
・レベルアップするときに必要な経験・実績、資格・検定など
キャリアアップさせる際は、辞令や職務命令書等をもって、例示した役職を命じ、業務に従事させます。

在留資格申請

実務経験を証明し試験に合格すれば、企業と外国人が雇用契約を締結し、必要書類を揃え、出入国在留管理局へ在留資格申請を行います。

弁護士及び行政書士以外の者が、在留資格変更許可申請書を含む官公署に提出する申請書等の書類の作成を報酬を得て業として行うことは、行政書士法違反に当たり認められません。

特定技能2号のポイント

雇用期間

2号特定技能外国人の雇用期間に制限はありません。

「特定技能2号」では、3年、1年、6月のいずれかの在留期間が付与され、その都度、更新手続きが必要となりますが、更新回数の制限はありません。

家族の帯同

2号特定技能外国人は、要件を満たせば、配偶者と子の帯同が可能です。

《家族の在留資格と家族ができる就労》
帯同する家族は、2号特定技能外国人の扶養を受ける配偶者または子として「家族滞在」の在留資格を取得し、日本で滞在することになります。
「家族滞在」の在留資格では、原則として就労は認められていませんが、「資格外活動許可」を得ている場合に限り、週28時間以内のアルバイトが可能です。

《受入れ企業のサポートや対応》
2号特定技能外国人が家族を帯同する場合、受入れ企業には以下のようなサポートや対応が求められます。
 ・家族が一緒に住める住居確保へのサポート
 ・就学児童等が居れば、通学できる学校や教育機関の確認
 ・子供や家族が安心できる病院等の確認
 ・公的手続き等へのサポート
 ・その他生活に必要な契約等のサポート

支援の有無

「特定技能2号」は、受入れ企業または登録支援機関の支援は不要となり、登録支援機関の関与はなくなります。

特定技能2号の疑問点

「特定技能2号」とは、どのような在留資格ですか?

「特定技能2号」は、熟練した技能を持つ外国人のための在留資格であり、「特定技能1号」より高い技能を持つことが必要です。熟練した技能水準を持っていることは、試験と実務経験により確認されます。

「特定技能1号」を経れば、自動的に「特定技能2号」に移行できますか?

「特定技能1号」で通算の在留期間の上限5年間働いたとしても、「特定技能2号」の試験に合格しないと移行できません。

「特定技能1号」を経なくても、「特定技能2号」の在留資格を取得することができますか?

産業分野ごとに定められた試験に合格して実務経験の要件を満たせば、「特定技能1号」の途中でも「特定技能2号」に移行できます。

「特定技能2号」でも、各種届出や定期面談は必要ですか?

「特定技能2号」の外国人は、受入れ企業または登録支援機関による支援が不要なため、定期面談と定期の「支援実施状況に係る届出」の提出は不要ですが、定期の「受入れ活動状況に係る届出」と随時の各種届出は、「特定技能1号」の場合と同様に必要です。

「特定技能2号」は、「特定技能1号」のような通算の在留期間の上限が設けられていませんが、実質的に永住者と同じということですか?

「特定技能2号」は、専門的・技術的分野の在留資格の「技術・人文知識・国際業務」等と同様、一定期間ごとに在留期間の更新が必要であり、退職等で「特定技能2号」の活動を終了した場合は更新が認められません。この点、在留期間の更新の必要がなく、活動内容に制限のない永住者とは異なります。

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秋穂事務所では、2号特定技能外国人の受入れ前から受入れ後まで、外国人がキャリアアップしつつ活躍できる仕組みを受入れ企業様と共に作るためのサポートをさせていただきます。

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この記事を書いた人

三木 秋穂のアバター 三木 秋穂 特定行政書士・申請取次行政書士

淡路島の走る行政書士/Luật Sư Hành Chính/行政書士事務所8年経営/日本で頑張る特定技能外国人サポート+技能実習/車と農地と建設業の手続きもやります/愛媛県イメージアップキャラクター「みきゃん」応援団/山登りと長渕剛の歌と神社巡りが好きです/ベトナム料理を食べ歩いています
▷1972年(昭和47年)9月21日生まれ
▷兵庫県行政書士会所属
▷兵庫県行政書士会申請取次行政書士管理委員会副委員長
▷兵庫県行政書士会淡路支部理事

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