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外国人技能実習生受入組合設立について
この記事では、外国人技能実習生を受入れるために組合を設立してから、監理団体の許可を受けて技能実習生の監理事業を行うまでの流れについて解説しています。
事業協同組合とは?
事業協同組合とは、中小企業者が個々では対応できない課題に対して、相互扶助の精神に基づき協同して事業を行うことにより、経営上の諸問題を解決し、経営の近代化・合理化や経済的地位の改善・向上を図ることを目的とする組合です。4人以上の中小企業者によって設立でき、共同事業を通じて組合員が行う事業を補完・支援するための事業を実施します。
中小規模の商業、工業、鉱業、運送業、サービス業その他の事業を行う者、勤労者その他の者が相互扶助の精神に基き協同して事業を行うために必要な組織について定め、これらの者の公正な経済活動の機会を確保し、もつてその自主的な経済活動を促進し、かつ、その経済的地位の向上を図ることを目的としています。
組合設立時のポイント
組合設立の主なポイントは、次の4つです。
①中小企業者(法人または個人事業者)が4名以上
②行政庁の「認可」が必要
③認可を受けるには最低3ヶ月程度かかる
④役員が4名必要(理事3名・監事1名)
外国人技能実習生受入れを目的として組合を設立して監理事業を行うためには、さらに次の要件を満たす必要があります。
①技能実習機構の「監理団体の許可」が必要
②組合(監理団体)の監理責任者を選任
③適切な技能実習計画作成指導者の確保
④適切な事務所の確保
組合設立の流れ
組合を設立するためには、行政庁の認可を受けるなど、一定の手続きが必要となります。
設立の手続きは、次のような流れで設立発起人が中心になって行います。
設立する組合の組合員になろうとする者が最低4人(法人の代表者または個人事業者)集まる必要があります。そのなかから4人以上が設立発起人となって設立行為を行います。発起人は、組合員になろうとする事業者のニーズをもとに、「設立趣意書」、「定款」、「事業計画書」、「収支予算書」などを作成し組合の設立に向けた準備を行います。組合の設立認可後は役員(理事) に設立事務を引き継ぐことになりますので、認可後の事務が停滞することのないよう、設立時の役員は発起人のなかから選出するのが一般的です。
組合の名称、地区(組合員として加入できる範囲)、事務所の所在地、組合員資格(加入できる業種等の条件)、出資1口の金額及び払込方法、組合が実施する事業及びその概要、賦課金の額、役員(理事・監事) の定数などの基本的な事項を決定します。これらの事項は設立認可申請時に提出する「設立趣意書」の記載内容ですので、設立趣意書を作成しながら決めていくと効率的です。
組合を設立するためには、行政庁の「認可」を受ける必要があります。必要書類を所管行政庁と事前協議しておくと、認可手続きを円滑に進めることができます。
設立認可申請に必要な書類は、準備できるもの全てを総会の開催前までに作成し、創立総会の招集手続きに着手する前段階で、所管行政庁と事前の協議をします。
もし、認可申請時に書類の不備があった場合には、訂正することになります。この時、事業計画書など総会議決が必要な書類に記載漏れや誤りなどがあった場合は、再度、創立総会の招集手続きから進め、議決し直すことが必要になってしまうこともあります。
発起人は、設立の同意を得た者を集めて創立総会を開かなければなりません。創立総会を開催するには、開催日の2週間前までに公告・通知することが必要で、これを省略することはできません。開催公告・通知の方法は法律では定めていませんが、発起人代表の門前や設立事務所前に掲示する方法がとられています。
創立総会は、発起人及び役員に予定されている者は全員出席するよう配意し、その他の設立同意者も出席できる日程で開催します。
※創立総会であっても定款に規定する「地区」及び「組合員の資格」を変更することはできません。
※創立総会が成立するには、「創立総会当日までに設立の同意を申し出た者(設立同意者) の半数以上が出席」することが必要です。
創立総会で選出された役員で理事会を開催します。理事会では、代表理事(理事長)など、定款で定めた役付理事(副理事長、専務理事、常務理事等) を選任します。
発起人は、創立総会終了後遅滞なく設立認可申請書及び必要な添付書類を作成し、これを所管行政庁に提出して、設立の認可を受けなければなりません。
設立の認可を受けると所管行政庁より認可書が送られてきます。
設立が認可され「設立認可書」を受領した後は、設立同意者から出資金の払い込みを受けます。その際、まだ組合名義の金融機関の銀行口座がありませんので、代表理事の銀行口座を入金用の口座として使います。なお、設立認可日より前に入金することのないよう注意が必要です。
※代表理事が法人組合員であれば、入金用口座は法人名義を使用することを推奨します。
設立認可の後、出資の払込みが完了した後、代表理事は2週間以内に組合事務所の所在地を所轄する法務局に「設立登記」と実印の「印鑑登録」をします。なお、設立日として記録される日付は、申請書が受付された日です。
※設立日を調整する場合には、出資の払込みが完了した日から2週間以内に登記する必要があるため、出資の払込日も考慮する必要があります。
※設立登記の際に、組合の印鑑(実印)登録が必要です。所管行政庁への事前説明後の時期を目安に作成します。
設立の登記が完了した後、金融機関の口座開設、税務署や年金事務所等への届出が必要です。
設立発起人の決定から設立登記までは、一般的に最低3ヶ月程度の時間を要します。
監理団体の許可申請
事業協同組合を設立して、外国人技能実習生受入れ事業を始めるには、外国人技能実習機構に「監理団体の許可」申請を行い許可を受ける必要があります。
申請後、許可が下りるまで3~4か月程度を要します。申請書類や添付書類に不備などがある場合は、それ以上の期間を要することがあります。
技能実習制度の監理団体が監理支援機関として育成就労制度に関わる業務を行うためには、新たに監理支援機関の許可を受ける必要があります。また、育成就労制度では許可要件が厳格化されます。
監理責任者の選任
監理団体は、監理事業を行う事業所ごとに監理責任者を選任しなければなりません。
監理責任者は、監理事業を行う事業所ごとに、監理団体の常勤の役員または職員の中から、当該事業所に所属する者で監理責任者の業務を適正に遂行する能力を有するものを選任しなければなりません。
監理責任者 = 監理団体(組合)の常勤の役員または職員
技能実習計画作成指導者の確保
技能実習生を受入れて技能実習を行わせるためには、実習実施者である受入れ企業は、技能実習生ひとりひとりの技能実習計画を作成し、技能実習機構から計画認定を受けなければなりません。この技能実習計画は、監理団体の指導に基づき作成しますが、その指導を行うのが技能実習計画作成指導者です。
技能実習計画は、実習実施者と十分に意思疎通を図って作成しなければならないので、技能実習生に修得させようとする技能について一定の知識と経験が求められます。具体的には、監理団体の役職員(常勤・非常勤は問わない。)で、取扱職種について5年以上の実務経験がある人か、取扱職種の技能実習計画作成の指導歴がある人が担当しなければなりません。
監理事業所の確保
監理事業を行うことができる事業所については、所在地、構造、設備等が一定の要件を満たしている必要があります。
事業所の床面積については20㎡以上必要ですが、その面積は事務(執務)室や面談(対応)スペース等の監理事業のために使用する場所の面積であり、キッチン・トイレ・風呂場等の面積は含まれません。
事業所の所在地については、風俗営業法で規制する風俗営業や性風俗関連特殊営業等が密集するなど、監理事業の運営に好ましくない場所に設置することはできません。
実習生の受入れを予定している組合員が所有する物件を、監理事業所として借りることは、中立的な事業運営ができる体制が確保されていると言えないため認められません。また実習実施(予定)者とその関係者は、監理事業所の賃貸借契約の連帯保証人になることはできません。